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「建築士法の抜本改正の提言」を国土交通大臣に上申(報告)

平成17年12月26日

社団法人日本建築士事務所協会連合会
会  長  小  川  圭  一

平成17年12月26日午後4時30分、本連合会は「建築士法の抜本改正の提言」を北側一雄国土交通大臣に上申した。
その際、北側大臣からは、「この機会に問題点をいっさい出し、建築士法の抜本改正が必要である、建築士等の資格者がその業務を行う際、建築主等に毅然とした態度がとれる構造にする必要がある。」との発言があった。
本日の北側大臣への上申にあたり、午前11時より小川会長、平田副会長、三栖常任理事、高津専務理事、檮原政研会長、宮本政研幹事長、北野常務理事が建築設計議員連盟の幹部の先生方を訪問した。
午後1時30分より2時15分まで、日事連小川会長、平田副会長、三栖常任理事、高津専務理事、北野常務理事は国交省建設専門紙記者会で、また2時40分より3時30分まで国交省記者会(一般報道)で記者会見を行った。
一方、檮原政研会長及び宮本幹事長は、1時〜3時まで前記提言の説明のため、建築設計議員連盟の先生40名を訪問した。
午後4時30分、小川会長、平田副会長、三栖常任理事、高津専務理事及び北野常務理事が国土交通大臣を訪問し、小川会長より北側大臣に山本住宅局長、和泉審議官の同席のもと提言書を手渡し、提言を上申し、北側大臣より前述のコメントを得たところである。
なお、提言の内容については、12月13日の建築設計制度等対応特別委員会の審議を経、さらに19日の常任理事会での長時間にわたる審議を経て内容をまとめたものである。


■ 建築士法の抜本改正の提言<pdf>

■ 別紙:法律改正を検討すべき事項(提言事項)<pdf>

■ 別添:法改正提言の基本方針(フロー)<pdf>

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平成17年12月26日

建築士法の抜本改正の提言

社団法人日本建築士事務所協会連合会

―建築士業務の適正化の徹底と消費者保護―

建築設計及び工事監理のための業の適正化をめざして

1.はじめに
建築士による構造計算書の偽装問題でマンション等の居住者等に対して多大な被害を生じさせ、国民を不安に陥れた行為は断じて許せないものであり、建築設計業務に対する国民の信頼を損ねたことは誠に遺憾である。建築設計、工事監理等を業とする建築士事務所を構成員としている本連合会は、このような事態を厳粛に受け止め、建築士事務所の業務に対する社会の信頼を回復するために、内にあっては構成員に対しその業務の厳正な執行及び職業倫理の遵守の周知徹底に努め、外にあっては制度等改善に向け建議、要望等を積極的に行いその改善に努める所存である。

2.構造計算書偽装問題に対する基本認識
(1)基本認識の第一は、当事者の職業倫理の欠如である。いうまでもなくこの度の偽装問題は犯罪であるが、このような犯罪を生み出してしまった倫理の欠如には厳しく対処していかなければならない。本連合会としては研修等により建築士事務所の開設者及び事務所を管理する建築士(管理建築士)を中心に職業倫理の徹底を図るとともに職業倫理に反する行為を行った者に対しては厳格に処分する必要がある。
また、建築士法では、建築士はその業務を誠実に行い、設計を行う場合においては法令等に定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならないとしている(建築士法第18条第1項)が、さらに一歩進めた職業倫理遵守の規定を法に設け、違反設計行為の抑止を図る必要がある。

(2)基本認識の第二は、建築物の設計、建築確認、工事にいたる各業務のチェック体制の不備である。
今回の事件の設計から工事完了までの業務の流れは、元請の建築士事務所(元請建築士事務所)が構造計算書作成業務を他の建築士事務所に外注委託し、その業務の外注を受けた建築士事務所(下請建築士事務所)が偽装して構造計算書を作成し、その偽装された構造計算書をもって元請建築士事務所が指定確認検査機関に確認申請を行い、当該指定確認検査機関の建築確認済みをもって工事がなされて建築物が作られている。
この流れのなかで、<1>元請建築士事務所が発注した構造計算書について自らチェックしその偽装を発見できなかったこと(又は、チェックしなかったこと)、<2>指定確認検査機関が構造計算書の偽装を発見出来なかったことにある。
指定確認検査機関の審査制度については、行政においてその改善策が検討されることとし、元請建築士事務所に係る本連合会の今後の対策は、外注業務の委託に係る標準契約約款の作成等適正な外注契約、業務管理等指導に努める必要がある。

(3) 現在の法制度は、個人の資格である建築士についての権能を中心としたルールとなっており、建築設計・工事監理を行う業及び業務については十分なルールが確立されているとはいえない。今後は個人としての視点だけでなく業に着目した視点に立って建築士の設計等の業務の不適正な行為の抑止と責任のあり方を明確化したルールが必要である。

3.これまでの本連合会の要望
本連合会は、その前身である全国建築士事務所協会連合会が設立された昭和37年9月より今日までの43年間、資格法(建築士法)とは別の業法制定運動を行ってきた。業法制定運動のなかで業法の内容が、関係省庁及び関係団体との折衝の課程で社会状況の変化、他の法制度との整合性等により変化していった。本連合会が業法として要望してきた直近(平成9年まで)の内容9項目は、次の通りである。

<1> 建築士事務所団体の法定化
<2>
建築士事務所団体への加入の促進
<3>
建築士事務所の登録要件の整備(人的、物的要件等の整備)
<4>
管理建築士の資格の整備(5年の実務経験、指定講習の受講)
<5>
管理建築士の責任と権限の強化(設計契約で管理建築士の意見を聞くこと)
<6>
業務の規制の整備(設計図書の10年保存、事務所情報の開示)
<7>
適正な業務報酬の確立
<8>
書面による契約の義務づけ
<9>
紛争処理方法の整備

本連合会は平成7年1月の阪神淡路大震災を契機に消費者保護の観点から業法の必要性を強く要望した結果、前記9項目についてそれを一気に独立の業法として制定するのは無理であるとし、当面建築士法の改正で段階を踏むこととなり、平成9年6月、議員立法により建築士法の改正がなされた。建築士法の改正により前記<1>及び<2>は指定法人の指定規定で対処され、<6>業務の規制の整備については建築士事務所の開設者の書類の閲覧義務で、<8>の書面による契約の義務づけは、書面の交付義務規定で、<9>の紛争の処理方法の整備は指定法人の業務として対処された。以上の他の<3>建築士事務所の登録要件の整備、<4>管理建築士の資格の整備、<5>管理建築士の責任と権限の強化及び<7>適正な業務報酬の確立は、社会的な実態にてらしその必要性が見あたらない等の理由により建築士法の改正に反映されなかった。
このような状況のなか、この度の建築士による構造計算書の偽装問題が発覚した。

4.今後の再発防止と社会からの信頼性の回復のための提言の基本方向

今回の建築士による構造計算書の偽装問題により現行の建築士法及び建築基準法では十分機能できなかったことが判明した。今後の再発防止と社会からの信頼回復のために次の観点からの現行制度の改善を提言する。(詳細については別紙参照)

<1>建築士事務所のチェック体制等業務の適正化(統括管理を含む)
・管理建築士(建築士事務所を管理する建築士)の
業務管理責任の明確化と要件の強化
・外注業務委託における元請と下請の責任の明確化
・工事監理記録等記録の義務化

<2>建築士の職業倫理の遵守の徹底や違反行為の防止等
・名義貸しの禁止等の違反行為の抑止に係る規定の明確化
・違反行為等の罰則の強化
・団体加入の義務化等

<3>消費者保護
・資格の専門性の明示や情報の開示
・設計賠償責任保険制度の加入の義務化

<4>建築士及び管理建築士に技術力の維持・向上のための講習受講の義務化
・資格の更新制や講習の義務化等
・管理建築士の講習受講の義務化

<5>行政の監督権限の体制整備
・複数県にまたがる建築士事務所の監督権限を国に移管

以上の観点からの制度の改善を提言するが、安全を前提とした現代社会の複雑高度な建築物への要求に的確に応えるには、一個人の知識・経験のみではもはや対応が不可能であり、多様な専門業務を正確かつ有効に総合する、組織的対応が求められる。業務組織体としての建築士事務所がその業務について総合的かつ継続的責任を負う主体(企業体)として位置づけられる必要がある。従って本来は上記の制度の改善は建築士法より独立した建築設計業務の適正化のための新たな業法による規制が最善と考えるが、立法に係る手法については論議があるところであり、いずれの法体系にせよ上記の観点にたった建築士の業務に関する別紙の法的強化が必要であり、ここに提言する。


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