姉歯建築設計事務所による構造計算書偽造問題について(小川会長所見)



姉歯建築設計事務所による構造計算書偽造問題について

 

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   姉歯建築設計事務所による構造計算書偽造問題について

17.11.29 

 (社)日本建築士事務所協会連合会

会 長   小 川  圭 一

既に国土交通省の記者発表や各種の報道でご承知のように、建築物の建築確認について建築士が偽造した構造計算書が使われた問題が発覚し、全国で大きな社会問題を引き起こしていることについて、建築設計に関連する団体としてまことに残念であり、厳粛に受け止めております。

姉歯建築設計事務所は当連合会の建築士事務所協会の会員事務所ではありませんが、本来建築物の安全性を確保し、国民の生 命、財産を守るべき立場の建築士が、建築設計の構造計算書を偽造し、居住者等に多大な被害を生じさせ、また全国の国民を不安に陥れたことは、全く許される べきことではなく、あってはならないことであります。

今回の問題については、今後国土交通省や司法等の調査結果を待たねばなりませんが、これまで新聞報道等の範囲では、構造 計算書を偽造した建築士に直接の責任があることは明白であります。しかしながら、建築設計を担当する元請の建築士事務所(建築設計事務所)は、構造設計に ついても元請として統括�・調整する立場にあり、その役割と責任は大きいものと考えています。元請の建築士事務所については遺憾ながら当連合会の建築士事 務所協会の会員事務所も含まれていることが判明しました。会員事務所が関わったことについてはまことに残念であり、当該建築士事務所が所属する建築士事務 所協会と致しましても行政処分の動向を見つつ、必要な調査�・処分を行ってまいります。

今後、一刻も早い真相究明がなされ、問題の対象となった建築物について必要な対策がなされ、国民の不安が解消されるとと もに、事件の再発防止のためのさまざまな対策が講じられる必要があると考えます。また、偽造に関わった建築士等については関係法令に基づき厳正な処分がな されるべきと考えます。

 今回の問題は、建築士や建築設計業務に対する国民の信頼を著しく損ねるものですが、われわれ(社)日本建築士事務所協会連合会は、他団体や行政とも連携し、国民の信頼を回復すべく、連合会をあげて最善の努力をしてまいります。

 当連合会は、事件発生以来、当面の対応として

1)一般市民の不安に対応する相談窓口を全国の建築士事務所協会に設置。

2)会員建築士事務所に対する業務の厳正な執行についての注意喚起と周知徹底。

を行ったところです。

今後は、

1)職業倫理遵守の徹底。

2)建築士事務所のチェック体制の強化。

3)建築士事務所の専門領域等の情報の開示。

4)建築士事務所の、研修�・講習による技術�・能力の向上。

5)団体未加入建築士事務所への勧誘・働きかけ。

等を実施するとともに、建築士・建築士事務所の業務の適正化や消費者の保護のためのルールの強化が必要であり、このための法律や制度の制定や改正についても国や関係団体に働きかけ、国民の信頼の回復に努めたいと考えています。


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