社団法人日本建築士事務所協会連合会
設計事務所「信頼できない」4割
日事連世論調査
「団体加入義務化」89%賛成
不祥事根絶は「姿勢」よりも「具体策」
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姉歯秀次元建築士を皮切りに耐震強度偽装、名義貸し、無免許・無資格設計など不祥事が絶えないことを受け、設計事務所の全国組織、日本建築士事務所協会連合会(日事連、会長・三栖邦博、1万5300事務所加入)は、国民が設計事務所をどう見、信頼向上のために何を期待しているかを聞く全国世論調査(電話)を8~10日の3日実施しました。
その結果、建築士、設計事務所の不祥事がなくならないことについて、「悪いのは一部、多くの設計事務所は信頼できる」が62.0%に止まり、「氷山の一角、ほとんどの設計事務所は信頼できない」との厳しい見方が38.0%、約 4割にも達しました。特に、「信頼できない」は、女性35.8%に対し男性が40.3%と高く、また地域的には、「信頼できない」が高い近畿 (46.1%)、九州(43.5%)、中国・四国(39.2%)と低い北海道・東北(23.7%)、中部・甲信越(37.3%)、関東(37.5%)に分 かれ、西高東低の結果となりました。
では、設計事務所の信頼向上のために、すでに法律の改正で決まっている罰則の強化以外で、何が最も必要かを選択してもらう質問には、「設計事務所の情報公開」(38.0%)、「技術や法律教育の強化」(33.1%)と、具体策を選んだ人が3分の1もしくはそれ以上を占め、姿勢にかかわる「苦情処理の迅速化」(15.0%)、「倫理観の徹底」(13.9%)に大きく水をあけました。
そのうえで、設計事務所の団体への加入が自由なため、姉歯元建築士も未加入だったことにふれ、これを税理士や弁護士の団体と同じく、加入を義務づけるべきかどうかを質問しました。
その結果は、「義務づけるべき」(89.0%)が 「いまのままでよい」(11.0%)を大幅に上回わりました。女性は91.8%が「義務づけるべき」とし、86.0%の男性よりも高くなりました。年齢的 には40~50代(90.7%)、60歳以上(89.7%)が20~30代(86.6%)に比べて「義務づけるべき」とする割合が高くなっており、なかで も女性の40~50代は96.3%が「義務づけるべき」としています。
さらに、設計事務所が法律に違反しなくても、消費者に対して不誠実な業務、対応をした際、団体として自主的に指導、処分をすることについては「必要である」(96.1%)、「必要ではない」(3.9%)となりました。
なお、この結果について日事連は「設計事務所が、4割もの方に信頼されていない事実を非常に重く受け止めています。設計事務所の情報公開、技術や法律の教育の強化等目に見える対策に組織をあげて取り組み、不祥事を根絶しなければならないと考えます。それを進めるうえで、9割近くの方から賛意をいただいた団体(日事連)加入の義務化は、どうしても必要です。今回の結果を国民の声として真摯に受け止め、建築士法等の改正に反映させるべく最善の努力を重ねて参ります」(三栖会長)。