三栖邦博会長 平成20年年頭所感


「 平 成 2 0 年 頭 所 感 」

 

● 日事連会長 三栖邦博 

 

              

    

              

平 成 2 0 年 年 頭 所 感

社団法人日本建築士事務所協会連合会

会  長  三  栖  邦  博

平成20年の年頭にあたり所感を述べさせていただきます。

本年12月の改正建築士法の施行により、建築士事務所協会は法定団体として

新たな一歩を踏み出します。

この改正で建築士事務所とその開設者および建築士事務所に属する

建築士に係わる規定が大幅に充実強化されるとともに、

業法的側面を持つ建築士法の中で建築士事務所の業と建築士の資格が

夫々明確に位置づけられ、業を担う建築士事務所協会が

資格を担う建築士会に加えて新たに法定団体となります。

建築の設計と工事監理に携わる建築士事務所を会員とする唯一の公益法人である

建築士事務所協会への加入を促進し、設計・監理業界の自律的監督機能の強化と

社会的信頼の回復を目指す私たちにとって、意義ある出発の年となります。

一方、昨年6月施行の改正建築基準法によって確認審査が厳格化され、

確認業務の停滞による着工件数の大幅な減少が、

建築業界のみならず産業界全体にまで深刻な影響を及ぼし、 

未だ回復への確固たる道筋は見えていません。

講習の実施や支援体制の立ち上げなど建築士事務所の確認業務への

対応能力の向上に努めるとともに、行政や確認機関等との連携を強化するなど、

確認審査業務の迅速化に引き続き取り組んでまいります。

国民の安全確保のための最小限の厳格化は必要と考えますが、

過剰な厳格化は時間やコストなど国民の不利益につながります。

社会や市場の変化に対応して定常的に発生する工事中の計画変更や

既存建物の有効活用に必要な増改築手続きの合理化など、

制度の運用や制度そのもの改善をも視野に入れ、

社会の要請に十分に応えられる状況への一刻も早い回復に向け注力してまいります。

建築士事務所の業務に対する報酬基準を定めた

建設省告示1206号の見直しが制定以来30年ぶりに行われます。

時代とともに大きく変化して来た建築士事務所の業務の実態から乖離してきた

告示の見直しが、建築士事務所の業務内容の増大や

責任と義務の強化が盛り込まれたこの度の法改正に平行して行われる意義は

大変大きいと考えます。

同時に、今まで告示自体が社会から十分には認知されず、

基準を大幅に下回る報酬が日常化してきた状況を打開し、実効性を高めるためには、

建築士事務所業務に対する社会の理解度と認知度の向上そして普及、

浸透を図ることが必要と考えます。

建築士事務所が建築主や社会の付託に応え専門家としての

責任を果たしていくために必要不可欠な業務基盤を整備することも

建築士事務所の基本的な責務であるとの認識の基に本年も活動を展開してまいります。

建築士事務所協会の活動に皆様の一層のご理解とご支援を賜りたく

お願い申し上げます。

 

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