平成23年年頭所感

    

社団法人 日本建築士事務所協会連合会

会 長    三  栖  邦  博



 新年あけましておめでとうございます。新年を迎えるにあたりご挨拶申し上げます。

 円高・デフレの進行、長引く雇用不安など厳しい経済環境のなか、景気の先行きは未だ不透明であり、政治による景気浮揚策が望まれるところであります。

 このような状況のなか、昨年、国では建築基準法に基づく制度のあり方について「建築基準 法の見直しに関する検討会」を設け、構造適判制度の対象範囲、建築確認審査に係る法定期間等について検討がなされましたが、その検討結果は手続きの簡素化 や迅速化等について建築界、消費者代表、有識者それぞれの意見を併記することとなり、結論をまとめるに至りませんでした。この検討結果を踏まえ昨年暮れ国 土交通大臣は、本年の通常国会への建築基準法の改正案の提出を見送り、今後は運用改善の強化に取り組んでいくとの方針を明らかにしました。この検討会にお いて、本連合会は建築設計四会として、適判対象建築物の範囲の限定と建築確認と適判審査のワンストップ化を主張し、大臣にも直接要望しましたが、先の大臣 の表明の通り、誠に残念ながら法改正として実現に至りませんでした。今後は、四会が連携をとりつつ運用改善において四会の主張の主旨が反映できるよう努力 したいと思います。

 一方、昨年本連合会は、全国大会において設計・監理の業に係る規定を強化し明確化するこ とが、建物の安全と質の確保そして設計・監理業の健全な発展にとって不可欠であるとして、設計と工事監理の業に関する法律すなわち建築士事務所法(業法) の制定を目指し行動していくことを大会宣言として採択しました。今後の活動では、多くの国民の理解と、建築設計界や関連団体の賛同を得ることが不可欠であ ります。このことを念頭に置き行動して行きたいと思います。

 建築士事務所を取り巻く環境は依然として厳しいものがありますが、設計監理業を営む者の責務をしっかりと認識し、業の健全な発展のために前進して参る所存でありますのでご指導の程宜しくお願い申し上げます。
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