第37回建築士事務所全国大会(三重大会)を開催しました

 

式典の様子 去る平成25年8月9日、第37回建築士事務所全国大会が、三重県伊勢市の三重県営サンアリーナにて「建築の原点 文化・魂と技の継承」を大会テーマに開催しました。
 大会では、パネルディスカッションや建築家栗生明氏による記念講演、記念式典(日事連建築賞表彰、功労者表彰等)が行われ、全国の建築士事務所協会会員、来賓をあわせ、約1600人が参加しました。


 ※第37回建築士事務所全国大会(三重大会)の詳細報告については、会誌「日事連」10月号に掲載しました。 

 

パネルディスカッション 記念講演 受賞式
パネルディスカッション
「建築文化の継承とまちづくり」
コーディネータ:
浅野聡氏
パネリスト:
河合真如氏・千種清美氏・尾関憲一氏
 記念講演
「建築の原点・祈りと喜び」
建築家 栗生明氏
 日事連建築賞
国土交通大臣賞を授与される
UID一級建築士事務所(広島)

 
■ >>新聞掲載記事はこちら
 
日事連三栖会長 開催挨拶 
 

三栖会長 第37回建築士事務所全国大会・三重大会の開催にあたり一言ご挨拶を申し上げます。
 本日は、国土交通大臣をはじめ国会、県議会議員の先生方、三重県知事、伊勢市長、並びに関係諸官庁、関係団体のご来賓をお迎えし、全国各地の大勢の建築士事務所協会会員が、神宮式年遷宮の本年ここ伊勢の地に集い、全国大会を開催出来ます事は、大変悦ばしく、意義深いことと感じております。

  さて、巨大津波と原発事故まで引き起こした東日本大震災から2年半近くが過ぎてもなお、多くの被災者にとって暮らしの回復には程遠く、本格的な復興は緒に就いたばかりであります。美しく豊かな自然風土に恵まれたわが国は、一方では自然災害の脅威に常にさらされ、しかもその威力の限界を未だ計り知ることは出来ません。南海トラフを震源とする巨大連鎖地震や首都圏直下型地震が差し迫る今日、強度不足の建物や老朽化した都市施設など、社会資本の再評価と再構築は喫緊の課題となっております。

 去る5月には改正耐震改修促進法が成立し、耐震診断の義務化と診断結果の公表、そして、耐震診断と改修費用の公的助成の強化などが盛り込まれ、今後、建物の耐震化をはじめ、社会資本の再構築に官民の多額の資金が投入され、国を挙げて国土強靭化に取り組むことになります。まさに、わが国は、戦後復興にも匹敵する第二の復興ともいうべき新たな国づくりの時代にある、と云っても過言ではありません。

 昭和25年の制定以来、60年余にわたり、建物の必要最低基準を定めた建築基準法とその順守を担保する資格者を定めた建築士法の両制度は、戦災復興とそれに続く高度経済成長時代のニーズに有効に機能してきましたが、反面、法規準さえ満たせば良しとする風潮が、質の高い建物や魅力的なまちづくりには繋がらず、スクラップ・アンド・ビルドをも加速させ、国民負担と環境負荷を増大させる一因にもなってきました。

 また、本来、質の高い建物を設計すべき建築士を法適合を主業務とする資格者へと変質させ、同時に、建築士を擁しない事業者でも、建築士事務所へ一括再委託することにより、設計・監理業を行えるとする現行建築士法の制度のもとで、多くの建築士事務所が、設計・監理業を営む多様な事業者の下請へと押しやられ、その結果、設計・監理の重要性はもとよりその存在自体さえもが国民に十分には認識されず、設計・監理業として確立されているとは云い難い状況にあります。

 建築やまちづくりの基本は、すべての建物はその所有形態にかかわらず、安心、安全の確保はもとより景観形成や地球環境への影響など、建築されると同時に人々の生活に深く関わり、必然的に公共的価値を持つ存在となる、という認識を全国民が共有し、その価値を実現することにあります。

 中でも、法規準への適合だけでなく高度な知識と技術に基づく専門家としての自立した判断を通じて、この公共的価値の実現に主導的役割を果すことが求められる建築士事務所と、発注者として価値基準の決定に大きな役割を果す建築主の双方が、対等な立場での直接の契約に基づき、それぞれの責務を遂行し、良質でサスティナブルな社会資本の形成と次世代への継承という社会的責任を共に果たすことが、今まで以上に強く求められております。

 私たちが、制定を目指す(仮称)建築士事務所法(或いは設計・監理業法)は、設計・監理業務の委託者と受託者の双方を関係付ける設計・監理業の公正で適正な有り様を規定する新たな枠組みであり、建築主と建築士事務所が第二の復興とも云うべき時代の要請に応えていくためには不可欠な枠組みであると考えております。

 しかしながら、建築士事務所法は、私たち建築士事務所協会だけの努力で実現出来るものではありません。設計・監理業務に深く関わる建築士会と建築家協会、そして建築士事務所協会の設計3会が、先ずはその必要性の認識を共有し、その上で、建築関連団体をはじめ広く国民の理解と賛同を得ていくことが必須と考えております。

 設計3会では、本年3月以来、新法制定か建築士法の改正かの法の形の議論に先行して、先ずは法制化する必要のある事項について議論することとし、事務所協会が提案する10項目に加え、建築士会と建築家協会が提案する事項も合わせ検討する実質的な協議の場が設けられ、合意形成に向けた議論が進行中であります。会員各位にはこの状況を十分理解いただくとともに、この協議と並行して、建築士事務所法制定の実現に向けた建築関係団体との合意形成や国民の賛同を得る活動をそれぞれの地域で積極的に展開する必要があり、このことへの会員各位の協力は極めて重要と考えております。

 結びにあたり、建築士事務所全国大会・三重大会を契機として、建築設計・監理の仕事が社会から正当な評価を受け、建築士事務所の社会的地位の向上の実現につながる道程に、会員各位と共に、大きな一歩を踏み出してまいりたいと思います。決意の一端を述べさせていただきご挨拶といたします。ありがとうございました。
 


 

 

 

※ 平成26年度 第38回建築士事務所全国大会 ※

平成26年度 第38回建築士事務所全国大会は東京開催、その翌年は茨城大会となります。
 
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