建築士事務所のBIMとIT活用実態にかかわる調査結果について

 2018年に活動を開始した日事連の「BIMと情報環境ワーキンググループ」では、これまでBIMを設計プロセス・建築士事務所運営にいかに効果的に導入するかなどについて、必要な普及活動、研修や講習について議論を重ねてきました。その活動の中で、実際に建築士事務所協会の会員事務所がBIMをどのように認識し、どの程度活用してきているかを調査する必要性があると判断し、アンケートを実施しました。
 その結果、全国の建築士事務所協会の会員事務所から995件の有効な回答を頂きました。ご協力いただき、誠にありがとうございました。
 結果概要として、以下の通りご報告いたします。
 


結果概要

BIM導入状況についての設問では、全体のBIM導入割合は「導入済みで活用中(17.1%)」と「導入済みだが未活用(12.9%)」を合わせて30.0%でした(図1)。事務所の形態としては、総合設計事務所がBIM導入済みの割合が高くなっています。

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        図1 :BIMの導入・活用状況について(全体・事務所形態別)

 
事務所の総職員数別では、総職員数10人以上の事務所では導入済みの割合が高く、総職員数が多いほどBIMを導入している傾向が読み取れます(図2)。

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        図2 :BIMの導入・活用状況について(総職員数別)

 
導入しているBIMソフトウェアについては、「ArchiCAD」が43.0%と最も高く、次いで「Revit」が33.2%となり、この2製品の割合が高くなりました(図3)。

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        図3 :導入(予定含む)しているBIMソフトウェアについて(複数選択可の設問)

 
BIM導入を検討する状況としては、「発注者がBIMを要求してきたとき」が58.8%で最も高い数値を示していました。
BIMの学習方法や研修方法としては「セミナーへの参加」が54.5%で唯一過半数となっております。次いで「OJT(現場で実務を通じての業務習得)」の40.6%となっており、「実際に物件での作業が一番覚える」といった意見も見られました。
BIMを導入・活用する上で国や自治体からの支援の要望としては、補助金の支給、ガイドラインや基準類の整備が過半となりました。
BIMを導入・適用したことによる効果について、56.9%の事務所が「効果があった」と回答しました。
自由解答欄のなかでは、「作図の大幅な時間短縮が図ることができる」、「積算での利用に効果あり」、「導入のタイミングとして発注者からBIMを要望されるのがきっかけとなった」といった、効果やBIMの必要性を感じるという意見がある一方で、「コストが高い」、「BIMガイドラインが必要」などの導入・活用へのハードルを高く感じている意見が見られました。
他、詳細内容や図表については、以下の資料をご確認ください。
 
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 今後は、BIMの導入が建築士事務所経営にどう寄与したかを含め、さらなる調査分析を継続し、BIMの適切な普及に取り組みたいと考えております。ご意見ご要望があればぜひお寄せください。
 
2019年9月                
BIMと情報環境ワーキンググループ
 
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